ビジネスモデルを作る意気込みで挑戦を続ける『苗場山』 酒蔵が町の活性化にも
スキー場や『FUJI ROCK』などでよく知られる苗場。そこで地域おこしにも積極的な日本酒の蔵。
「苗場」と聞くと、にぎやかな苗場国際スキー場が思い浮かぶ人も多いだろう。しかし津南町は、苗場スキー場の裏側にあたる山裾に広がる。爽やかで穏やかな空気が流れる、苗場酒造のある街だ。
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■苗場山からの恵み、清らかな伏流水
すっきりとして柔らかい甘さがあり、女性に人気の高い『苗場山』。男性からは米の旨みがしっかり感じられると評され、好まれているという。鑑評会などでの入賞率も高い酒蔵だ。
飲み口の良さにつながる要素のひとつは、柔らかな仕込み水。標高2,145mの苗場山の伏流水だ。この軟水で地元津南町産を始めとする県産の酒米「五百万石」を主に使用して『苗場山』を醸している。
和窯に甑、蒸米はスコップで手掘りして放冷機へ。全て手造りで行うため、総量に比して蔵人の数が多いようだ。 対応してくれた事務課の福嶋香志枝さんが話す。
「現在は特定名称酒が9割を超えていることもあり、必然的に丁寧な造りとなります。そして、お酒には、自然豊かな津南町の風土や、和をもって醸す蔵人たちの想い、110余年の蔵の歴史……、そういった全てが込められています」
そうして生まれる酒は、雄大な山にも似た懐深い味わいだ。
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■町の中心にある酒蔵・社屋を改修
苗場酒造は1907年の創業。メインブランド『苗場山』は、創業時からの『不二政宗』に代わるものとして20年ほど前に開発された。地元だけに向けていた目線を上げ、全国展開への決心の意気込みが感じられるネーミングだ。
2014年には、社名も滝澤酒造から苗場酒造へと改め、100周年を期に社屋の大規模な改修を行った。数棟の酒蔵と事務所をひとつに集約。蔵の動線が良くなり、一部は一般客も見学できるようにした。
ショップを併設し、事務所はその傍にオープンな形で設置。蔵見学は、冬場や団体は要相談だがオフシーズンなら随時可能だ。
「試飲もできますので、ぜひお試しいただきたいですね。ショップや蔵見学など、お客様と直接お会いする機会が増えたことで、私たち事務の者ももっとこのお酒を知ってほしいという意識になりました」
と、福嶋さん。