れいわ新選組・難病ALS患者が当選確実で参議院が困惑 対応策を検討か

山本太郎代表が率いるれいわ新選組は、比例代表の特定枠を活かしてALS患者と重度の身体障碍者を擁立。国会は対応を迫られることになる。

2019/07/17 10:20


 

■ふなごやすひこ氏は副社長

ふなごやすひこ

では、ふなご氏とはどういう人物か。大学卒業後の1982年、酒田時計貿易に入社し商社マンとして活躍。1999年、41歳の夏に突如、箸、歯ブラシ、ペンが上手く握れなくなり、翌年5月にALSの告知を受ける。

麻痺は全身に及び、2002年に人工呼吸器、胃ろうを装着。2008年には、最後まで働いていた右手中指も麻痺。現在は歯で噛むセンサーでPCを操作しながら、詩歌や童話などの創作活動、意思伝達装置「伝の心」を用いての講演活動に取り組む。

また、看護・介護サービス事業の株式会社アースで取締役副社長を務め、サービス付高齢者向け住宅「サボテン六高台」の名誉施設長として経営監視を担っている。


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■執筆・講演活動も

健常者なら1秒ですむパソコン作業がふなご氏には1分かかる状況の中、「苦難は幸福の門」と信じ執筆・講演活動をしているという。 11年前に立正大学で講演し、文学部哲学科のゼミ生の卒業論文の指導を学生と対話しながら担当するようになった。

これまでに一番印象深い対話が「命の役割」についてとのこと。これがきっかけで「命の静から動への移行の中に感動がある」という講演も。

また、2015年3月発行の「立正大学人文学研究所年報(別冊)」には、人文学研究所客員研究員としての論文扱いの講演原稿3篇が掲載された。

2014年には時事通信社配信の連載コラム〈「ALSそろり社会参加」12回〉を執筆した他、2015年には日経新聞社の連載コラム〈「患者の目」4回〉を執筆した。

現在は、福祉業界新聞シルバー新報の連載コラム「フナgoスタイル ALS副社長の業務日誌」を執筆中だ。 著書も共著を合わせると6冊出している。


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■ALS患者の対応を参院が秘密裏に議論

体は動かなくても頭脳明晰なふなご氏の当選が見えてきて、当惑しているのが参議院だという。全国紙の政治部記者は語る。

「今は、職員がふなごさんが当選した場合、どうやって受け入れるか、秘密裏に話し合われています。まだ、議員になったわけではないから、表だっては議論できない。しかし、当選確実と言われていますから、対応が協議されているのです」


自身がろう者で、障碍者問題に詳しいジャーナリストの武島芽衣子さんが語る。

「先々月、”筆談ホステス”こと斉藤りえさんのキックオフ集会が北区の施設で行われ、私も取材に行きました。どんな障碍か問わず様々な障碍者が応援のために参加しました。


同施設は車椅子に対応していなくて、電動の車椅子の女性議員が来られたのですが、階段を上らせるために、電動車椅子はかなり重いため、男手8人が手伝いました。8人でもかなり運ぶのに時間がかかった。


参議院は一部エレベーターがありますが、完全バリアフリーになっているとは言い難い。ふなごさんは電動式ベッドですから、人力で持ち上げて運ぶというのはまず無理です。さらに、介助者も必要となる。


委員会室や本会議場に介護者が付くとしたら、初めてのことになる。ふなごさんが当選したら、数々の問題をクリアしなければならないのです」


投開票まであとわずか。ふなご氏の当選が正式に決まった段階で、参議院も対応を公にせざるをえなくなるだろう。

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(取材・文/France10・及川健二

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