女性を介抱したら準強制わいせつ容疑で逮捕 その背景と報道の問題点とは

準強制わいせつ

2019/12/22 17:20

 

■おかしな「捜査関係者証言」も

警察は、Xさんの証言以外の証拠が一切ないにもかかわらず、マスメディアに情報をリーク。テレビ局や大手新聞社などが一斉に逮捕を報じた。

さらに一部週刊誌は、「XさんがA氏の目を盗んで逃げ出し、警察に駆け込んだ」といった誤った情報を「捜査関係者の証言」などとして報じている。

実際には、A氏は午前2時台にマンションを出て帰宅。Xさんは午前7時台にマンションを出ているため、「目を盗んで逃げ出す」ことはありえない。

A氏が不起訴処分になったのは、警察が当初目論んだ「A氏とD氏のつながり」を立証することができず(実際に押収した携帯電話を確認したら初対面なのは明らかであったようだ)、逮捕が報じられたにもかかわらず「Me too」と名乗り出る別の被害者もなく、Xさんの証言だけで公判を維持することが不可能と判断したためと考えられる。

なお、編集部の取材では、A氏とXさんは示談などをしていないことも確認されている。


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■デジタルタトゥーとの戦い

編集部が確認した範囲では、逮捕された時点の大々的な報道と比較して、不起訴処分についての報道は一部新聞社が数行のベタ記事で報じたのみ。A氏が積み上げてきた名誉や実績は、大きく毀損されたままだ。

見込み捜査と、まるで「Me too集めのためにメディアを利用した」とも言わんばかりの情報リーク(実際に、ある記事の結びは「他にも被害者はいるのだろうか?」であった)、警察発表を検証することもなく報じた大手メディア、それを元に誤報を垂れ流したスポーツ紙や週刊誌、まとめサイトなどの責任は重い。

SNSや匿名掲示板に書き込んだユーザー一人ひとりも、共犯と言っていいだろう。今後A氏は、そうしたデジタルタトゥーとも戦っていかなければならないのだ。

次に「犯人」に仕立て上げられるのは、あなたかもしれない。メディアもネットユーザーも、あらためて襟を正す必要があるのではないだろうか。

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(取材・文/しらべぇ編集部・盛山 盛夫

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