混雑した電車でベビーカー、5人に1人「迷惑だ」 子育て経験の有無で“許容に差”は?

【鉄道トレンド調査隊】子育てしづらい国・ニッポン!? ベビーカーに対する意見割れる「ベビーカーくらいでガタガタ言うな」というママも…。

2023/05/21 04:15

ベビーカー

混雑した電車の中にベビーカーを持ち込むのはマナー的にありか、なしか。こうした「電車内ベビーカー論争」は注目を浴び、ときおりネット上でもバトルが繰り広げられている。

通勤時間帯、ベビーカーを乗せるのは控えるべきか、それとも周りが許容するべきか。男女1,000人にアンケートを行った。


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■混雑時のベビーカー、5人に1人「迷惑だ」

混雑時のベビーカーをどう思う?

調査によると、混雑した通勤電車でベビーカーを利用することに関して、「迷惑だと感じる」と答えた人は6.1%、「ときどき迷惑に感じる」は15.8%、「仕方がないと許容できる」は50.9%、「特に気にならない」は25.5%、「その他」は1.7%という結果となった。半数が許容できるとした一方で、ときどきを含め「迷惑だ」と感じる人は21.9%。全体の5人に1人が、迷惑だと思っていることが判明した。

混雑時のベビーカーをどう思う?

子育て経験のある人とない人で回答を比べてみよう。子育て経験のない人では「迷惑だ」と感じる割合に若干の増加がみられた。7.4%が「迷惑だと感じる」、17.0%が「ときどき迷惑に感じる」で、24.4%がときどきを含め「迷惑だ」と感じているという結果に。これは、ほぼ4人に1人ということになる。

混雑時のベビーカーをどう思う?

一方で、子育て経験がある人の回答をまとめると、4.1%が「迷惑だと感じる」、13.8%が「ときどき迷惑に感じる」となり、17.9%がときどきを含め「迷惑だ」と感じている。子育て経験を経て、他の人のベビーカーも許容できるようになる、という見方もできそうだ。


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■子育て中のママ「ベビーカーくらいでガタガタ言うな」

実際に乗客たちはベビーカーについてどう感じているのか。筆者の周りの人に本音を聞いた。

「子育てにはある程度理解のあるほうだが、朝ラッシュの時間にベビーカーを乗せる人は理解ができない。あの人たちは、一体どこに向かっているのかわからない。時間帯をずらすのではダメなのか」(40代男性)

「混んでる電車に乗ってきたベビーカーに、足を踏まれたことがある。思わず『痛っ』という声をあげてしまったが、そのお母さんは知らんぷりをしていた。それから、子連れに対して嫌なイメージを持つようになってしまった」(30代女性)

「混んでいる電車で、ベビーカーに乗っている子供がギャーギャー騒ぎ出した。しかし、親は注意をしない。他の人も迷惑そうなので、私が『静かにしてほしい』と声をかけたら、『あなたのほうがうるさいです』とその親に怒られてしまった。一体この国はどうなっているのか」(60代男性)

一方で、子育て中の人の声を聞いてみよう。

「予約がとりづらい病院など、混んでいる時間に乗らざるを得ない事情がある。車を持っていないし、タクシーに乗るお金もない。こちらも好き好んで乗っているわけではない。冷たい視線を浴びてとても辛かった経験がある」(30代女性)

「日本は子育てがしづらいと感じる。ベビーカーを乗せることに文句を言う人がいるが、優先席に座る若者など、マナー違反をする人はたくさんいる。ベビーカーくらいでガタガタ言うなと思う」(20代女性)

「ベビーカーを畳んで乗せれば、と言う人もいるが、こちらも1人である。実際に子供を片手に抱えながら、ベビーカーを畳むのは困難である。さらに片手に子供、片手にベビーカーを抱えて電車に乗るほうが、危険ではないか。そう言うことを言うのは、子育て経験のない人だと思いますが」(30代女性)


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■ベビーカーに配慮した車両も増えている

日本の終わりなき「ベビーカー論争」だが、世界はどうなのか。筆者の経験上、ヨーロッパの列車に乗ると、他の乗客がすすんでベビーカーの手助けをする光景をよく見た。たとえばドイツでは、ベビーカーをお母さんが1人で持ち上げて乗り降りすることはない。必ず周りにいる人が「手伝いましょうか」と声をかけている。それも1人でなく、同時に2人、3人が躊躇なく声をかける。

少し混んでいる車内に乗ったとしても、日本のような冷たい視線を受けることはほぼない。「ベビーカーが来たから、場所をあけないと」と皆が協力姿勢をとっていた。そうした国と比べると「日本は子育てをしづらい国だ」と言われても仕方がないのかもしれない。

ただこうした状況に、日本の鉄道会社も黙っているわけではない。ここ10年で、新車両に、ベビーカーなどの優先スペースなどをつくるなど、車両にも配慮が見られている。

たてとば山手線の最新車両E235系には、各車両に「フリースペース」が設けられている。ピンク色の床に車椅子やベビーカーのイラストが描かれ、利用しやすい環境が作られている。また西武線の新型車両40000系にも「パートナーゾーン」という名前で、車いすやベビーカー、大型の荷物を持った人が安心して利用できる空間が設けられている。こうした動きは各鉄道会社に見られている。

もちろん、混雑した車両にベビーカーを乗せることは、誰でも戸惑うだろう。「どうして、この時間に?」と思う人もいるかもしれない。しかし誰でも事情はあり、誰もが、約束の時間にたどり着かなければならない。そんな状況をお互いが理解しようと思うだけで、ベビーカー論争への終結に一歩近づくのではないだろうか。


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■執筆者プロフィール

東香名子

Sirabeeでは、鉄道トレンド総研所長の東香名子さんの連載コラム【鉄道トレンド調査隊】を公開しています。毎回、鉄道に関する調査を行い、解説する連載です。今週は「“ベビーカー論争”子育て経験の有無で聞く! 混雑した電車に乗せるのは迷惑?」を掲載しました。

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(取材・文/東香名子

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2022年11月26日~2022年11月28日
対象:全国10代~60代男女1000名(有効回答数)

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