10人に1人は「太りたい」 適正体重は現代人の重要課題か
「痩せているのは美しい」という概念は、必ずしも万人共通ではない。
中東では太っている女性が美しいとされる傾向がある。これは「太る=たくさん食べられるほど豊か」であるから。また、そうした価値観とは別に「痩せる運動よりも太る運動をしたい」と考える人も存在する。
太ることは、決して「絶対悪」ではないのだ。
■10%以上が「太りたい」
では、実際に「痩せるよりも太りたい」と考えている人はどれだけいるのだろうか?
しらべぇ編集部が実施した調査によると、11.7%の人が「太りたい」と回答。10人に1人以上と考えると、「ごく少数派」とも言えない数字だ。
体重が増えることを望んでいる人は、確かにいる。
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■肥満に治療薬はないが…
現代人の最大の敵は「肥満」である。イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングが発見した抗生物質により、人類は様々な病気を一気に駆逐できるようになった。
その後、医学の進歩にともない、結核やペスト、天然痘などさまざまな病気は、適切な治療さえ受けることができればまったく恐れることはない。
だが肥満が由来の疾患は、そうはいかない。抗生物質や抗ウイルス剤は、太りすぎを解消してくれないからだ。唯一の特効薬は、日頃の節制。
ところが、人為的に体重を落とす中で、過度に痩せてしまうことも。フランスのモデル業界では、あまりに痩せすぎて骨と皮のようになってしまったというモデルたちが問題視されている。
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■両極端がもたらす不健康
それを受け、アメリカのファッション雑誌などでは表紙に「ぽっちゃり体型」のモデルを起用している。
考えてみれば、人類はほんの100年ほど前まで「飢饉との戦い」を繰り広げてきた。たとえば、ジャガイモの不作により100万人以上の餓死者を出したアイルランドの「ジャガイモ飢饉」は、たった170年前の出来事。人類が飽食の環境下を手に入れたのは、つい最近のことなのだ。
だからこそ、「食べ物に事欠かない暮らし」に身体が適応していないという見方もできる。自分はどこまで痩せるべきか、または逆に太るべきかの「適正体重の判断」も、現代人が苦手とするものだ。
そして言えるのは、「太りすぎ」も「痩せすぎ」も同じくらい不健康であるという当然の事実である。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年5月20日~2016年5月23日
対象:全国20代~60代の男女1,378名(有効回答数)