足上げリラックスに動画視聴 相次ぐ鉄道運転士の「不祥事」
日本の鉄道会社が揺れている。
その原因は、車掌や運転士による相次ぐ不祥事だ。JR系列でも私鉄でも、日本の鉄道会社は運行管理の厳格さに国際的な定評がある。外国人から見れば、日本の電車はまさに時計のような正確さ。
だが、その評価が下方修正されてしまうかもしれない出来事が今年に入り相次いでいる。
■運転士が立ちション!?
先日、このようなニュースが各メディアで報道された。
JR総武本線の運転士が、電車から線路に向かって放尿していたのだ。
これは一般市民の通報から明らかになったことだが、この出来事の何が問題なのか。運転士も人間である以上、生理的現象は抑えられない。だが、だからこそ輸送司令室に報告してトイレに行く必要があった。
つまり「尿意を我慢できなかった」のは理由にならず、突き詰めれば「輸送司令室への報告が面倒だったのでは」という推測に行き着いてしまう。
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■運転中にリラックス
車内で起こった事態をすべて輸送司令室に報告するのは、当然ながら運転士の義務である。
だが、ここのところ「それ以前」の問題も立て続いた。まずは今年1月、JR山手線外回りの運転士が乗務中にスマホを操作していた。それもゲームの攻略動画を視聴していたという。
さらに4月には、JR横浜線に勤務する車掌が、やはり乗務中に漫画雑誌を読んでいた。このふたつの不祥事は、共に乗客からの通報で明らかになった。
そして極めつけは「新幹線足上げ事件」である。これはとある鉄道ファンのツイートで発覚した。
https://twitter.com/yamamoto1go2/status/773028816860041216
あまりの非常識さに、当初はコラ画像ではないかという声もあった。だがその後、JR東海が社内調査を実施し、事実関係を認めたのだ。
日本の鉄道運行の確実性に、大きな疑問符が発生してしまった瞬間でもある。
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■危うくなる日本鉄道の「信頼性」
世界では、鉄道網整備が急ピッチで進められている。
そもそも長大な線路を持つ国というのは案外少なく、またアメリカのように既存の鉄道自体が旧式化してしまっている国もある。そうしたところでは、地下鉄や高速鉄道の建設計画が検討されているのだ。
日本の鉄道関係者はシステム輸出を目指し、世界各地でプレゼン活動を行っている。そこにはフランスや中国などとの競合もあり、熾烈なビジネス戦争を展開しているのだ。
そんな中で発生した、一連の不祥事。視点を海外に向けるのはいいことだが、その目をしばしば日本国内に戻す必要も生じている。我々日本人が世界各国に売り込もうとしている鉄道が、果たして日本国内で安全に運行されているのか。
「足元のヒビ割れ」を修復する時が、確実に近づいている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)