170年の歴史を受け継ぎ雪室貯蔵などの挑戦も 「女の蔵」が醸し出す『雪紅梅』
新潟県中越地震の被災も乗り越え、母から娘へと受け継がれる長谷川酒造『越後雪紅梅』の秘話。
蔵人が持ってきた二つの利き猪口。専務の長谷川葉子さんは、色を見て、香りを確認し、味を利き、 「これは、このくらいでよかったね。もう1本のほうは、少し抑えてもいいね。また記録しておいてください」と、濾過の前後の具合を確認し、指示を出す。
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■いち早く雪室貯蔵をスタート
「お酒は生き物なので、その都度、その時の状態に応じて対応をしなければいけない。そして、記録に残す。自分にとっての安心のためでもあるんです」
長岡市にある摂田屋と呼ばれる地区は、酒、味噌、醤油など、醸造産業の盛んなところ。この地で天保13(1842)年に創業した酒蔵の経営を、長谷川専務が担ってから20年以上になる。 近年、よく聞くようになった雪中貯蔵・雪室貯蔵を、専務になって間もない頃に始めた。
雪深い小千谷の里で、室温0℃、湿度90%。静かに出荷の時を待つ酒は、定番の人気商品となっている。 また、蔵の裏側に並ぶ冷蔵庫のコンテナ。熟成酒以外は、フレッシュ感を保つため氷点下の設定だ。
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■突然、酒蔵経営を託された嫁
30年ほど前、銀行員の経験もある長谷川さんは、「事務を少し手伝う程度なら」と気軽に蔵の仕事に加わった。ところが、夫・道郎が参院選に出馬したため状況は急転。
参院議員となった夫に代わって専務となった身に、蔵の経営全てがのしかかる。義父・長谷川信氏も法務大臣を務めた家ではあるけれど、酒蔵の運営をするなど考えもしなかった。やるしかない状況だったという。