「年寄りの冷や水」の逆は?言葉の展開について考える【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
舞台の本番に入り、今月に入ってから2日しか家で眠れていない、“生きてるだけで精一杯”黒田勇樹です。こんにちは。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
以前、インターネットを徘徊していたところ、ジブリ映画「もののけ姫」の名台詞について「“生きろ、そなたは美しい”の反対は“死ね、ブス”だ」という書き込みを見つけ、実に笑い、興味を惹かれました。
これはよくよく考えてみると「反対」というよりも「裏側」、つまりその言葉の本質をつくのにもってこいの手法なのではないでしょうか?
まるで数式を展開するように、言葉の意味を紐解いていく。そんな遊びを思いつき、ことわざ辞典を開いてみました。
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■「死人に口なし」
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死んでしまっては誰かに何かを伝えることはできない、という意味のことわざですが、この言葉を展開すると「生きてる奴は、しゃべる」
どうでしょう?展開しても本質を突いていませんか?
「ナイショだよ」と伝えても、生きてる奴は、すぐしゃべるよね!
このように、正しい言葉であれば、それは数式と同じように、展開しても本質にたどり着いてくるのです。
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■「爪の垢を煎じて飲む」
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その人にあやかるために、爪の垢でもいいから煎じて飲みたい、といった意味のことわざですが、これを展開すると「爪の垢を煎じて飲まない」
賢そう!爪の垢を煎じて飲まない人は、実に賢そうです。
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■「年寄りの冷や水」
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特に高齢者に対して、分不相応な行為に手を出すことをあらわすことわざですが、これは展開すると「若者に、熱湯」
熱そうですね。やはりこれも「無茶をするな」という意味では、展開前と同じ答えにたどり着きます。
この「言葉の展開」には、まだまだ掘り下げるべきものが多くありそうなので、これからも色々探し、面白いものが見つかれば報告をさせて頂きます。
最後に、筆者の最近のキャッチコピー「生きてるだけで精一杯」を展開すると「なかなか死なない」になるんですが、自分でもなぜか、深く納得をしてしまいました。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)