【大正ロマンの香り】フルーツパーラーで提供される不思議な「黒いカレー」とは?
昨年、東京駅が開業開始から100周年を迎えたのは記憶に新しい。100年前といえば「大正浪漫」という言葉が生まれ、西洋と東洋の文化が入り混じった時代である。
そんな大正時代に産声をあげたお店が、文京区の東京大学から歩いて5分ほどのところに存在する。その名も「万定フルーツパーラー」。
そもそもフルーツパーラーとは、果物を使ったケーキや飲み物をメニューとする喫茶店を意味する。しかし、この「万定フルーツパーラー」では黒カレーが看板メニューなのだ。
開業当初は純粋な喫茶店であったが、お客の要望に応えていつしかカレーライスやハヤシライスを提供するようになったとのこと。
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■店内はレトロなアンティーク調
店内の装飾は、かなりレトロで大正、昭和、そして平成と積み重ねてきた歴史を感じさせる。オレンジジュースを「オレンヂ…」と表記した看板も。
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■これぞ大正の味! 黒いカレーライスの味とは?
カレーライスのお値段は750円。ルーはたしかに真っ黒で、サラサラとしたタイプだ。辛さはほとんどなく、ほどよくスパイスが効いている。口の中でマイルドにご飯と溶け合い、水のようにサラサラと胃袋へ流れていく。
イカスミや竹炭といった「黒い材料」を使っているわけではなく、スパイスやルーの炒め方がこの黒さの秘密のようだ。
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■肉汁あふれる黒いチキン
具はシンプルに、玉ねぎと大ぶりのチキン。ルーとスパイスがしっかりと染み込んでいて、噛むと肉汁があふれる。
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■天然生絞り 「オレンヂジュース」
またぜひ注文したいのが、店内の看板にもあったフルーツパーラー本来の一品、「天然オレンヂジュース」。
注文してすぐに、店の奥からオレンヂをしぼる音が聞こえてくる。新鮮さを保つために、注文されてからオレンヂを手でしぼってジュースにするそうだ。
ストローで吸い込むと、ほぐれたオレンヂの果肉が喉を潤していく。搾りたての風味から、100年以上守ってきた伝統が感じられる。
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■超レトロな「昭和9年のレジスター」とも出会える!
代金を支払うとき、ひときわ大きなレジに目を奪われる。そこで代金850円に対して千円札を差し出したところ…
「850円だと8円5銭と入力するんです。昭和9年製で、部品が壊れたらもう使えないの」(店主)
と、ひとりでお店を切り盛りする店主が笑顔で話してくれた。
伝統という一言では語り尽くせない、長年守りつづけてきたお店と味が魅力の「万定フルーツパーラー」。営業時間は短めだが年中無休なので、東京大学近くを訪れたならぜひ立ち寄ってみてはいかがだろう。
【万定フルーツパーラー】
東京都文京区本郷6-17-1
11:00~15:00(年中無休)
※土日祝日は、雨や雪で天候が悪いと休みのことも
(取材・文/しらべぇ編集部・将吾)