神社の狛犬はオス・メスどっち?下腹部の「あの突起」を調査
画像出典:Wikipedia
神社にある狛犬(こまいぬ)は、一般的に「あ・うん」が対になっている。「あ・うん」とは口の形のことで、口を開けた狛犬は「あ形(ぎょう)」、閉じた狛犬を「うん形」という。
中国の陰陽思想では、「あ」は陽、「うん」は陰と考えられている。同じく男性は陽で、女性は陰だ。つまり、単純に考えれば口を開いた狛犬は雄、閉じた狛犬は雌とみていいだろう。
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■狛犬の起源はハッキリしていない
狛犬は本来「高麗犬」で、高麗から伝来したものだと考えられている。
しかしその起源ははっきりせず、中国よりまだずっと西でシルクロードの途中、インドだと考えられている。ちなみに同じものが西へ伝播したものがスフィンクスというから、そのバリエーションはバカにできない。
日本の狛犬は、一方が獅子で、他方は鼻の上に角を持つ一角獣の姿とされる。獅子といってもライオンではなく空想上の動物だ。昔はお正月になると獅子舞が家庭を周り、子供たちの頭を噛んだものだが、獅子舞の獅子も同じ。
天上界に住む聖なる獣なのである。
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■狛犬は雄なのか? 男根率は2割程度…
この程度の知識はもっていた筆者だが、大阪南部にある里下神社に参拝したとき、異なものに目が留まった。狛犬の下腹部にロケット状の突起…これは男根か?
しかし対になっている狛犬もチェックしてみたところ、のっぺりとしたお腹が続くばかり。雌にはその徴がないようだ。
せっかくなので近隣の神社も周ってみたところ、大阪南部は男根率が高いらしい。鳥取神社などにもそれはあった。しかしやはりこちらも雌は無印。
せっかくなので、他の地域の神社に参拝するたびに狛犬チェックを繰り返してみたが、男根率はザッと2割程度といったところか。雄も雌もつるりとしたものが8割だった。
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■気になるのは「明らかな雌」が1匹も見つからなかいこと
数年かけて調べてみたが、成果はゼロ。「凹は隠れて見えない」という理屈もあるのかもしれないが、「凹」より「凸」の方が表現しやすい理由でもあるのだろうか。
諦めかけていたとき、ふと「お寺の狛犬はどうだろう」と思いついた。
狛犬は通常神社に置かれていることが多く、お寺ではその存在自体が見つからないことも多かった。それでもやっと、飛鳥にある橘寺で見つけることができたのである。
それでは見ていただこう。
下腹部に、タカラガイの裏側をとりつけたような彫刻があるのがわかるだろうか。その対となっている狛犬にはもちろんロケットもある。見ごとな雌雄一対。明らかな雌の狛犬もいるのだ。
しかし、しかしだ。陰陽思想からくるセオリーでは、雄は陽で口を開けており、雌は陰で口を閉じているはず。
こちらの狛犬は反対になっているのはなぜなのだろう。これは「明らかな雌」と呼んでも良いのだろうか。掃除をしていた僧侶に尋ねてみたが詳しくはわからないとのこと。謎はますます深まるばかりである。
(取材・文/しらべぇ編集部・上江洲規子)