タベアルキスト・マッキー牧元の「弁当勝負」 駅弁選びの極意とは

『味の手帖』取締役・編集顧問で美食家として知られるマッキー牧元。その駅弁へのこだわりとは。

グルメ

2019/06/04 11:30

松浦商店

『味の手帖』取締役編集顧問でタベアルキストのマッキー牧元氏。その食へのこだわりは、出張や旅行の楽しみ「駅弁」にも及ぶ。マッキー氏が行う「弁当勝負」とは何か。本当にうまい駅弁はどれなのか。この連載で明らかになるだろう。以下、お楽しみいただきたい。



 

■弁当勝負とは

弁当を購入して列車に乗り、隣り合わせた、もしくは前後席に座った見ず知らずの客と、どちらの弁当が優れているか判定をする勝負である。以下、勝負決定への必要事項10ヶ条を記す。

一人勝手に勝負を挑み、一人勝手に勝敗を決め、当然ながらその結果は伝えない。


勝敗は、値段の高さや豪華さに頼ってはいけない。あくまで実質的な弁当の味わいであり、食べる人の考えや人生、哲学が反映されているかを判断する。


弁当だけではなく、飲み物との相性も判断材料の一つとする。


また食べる姿勢も大切な判断材料で、いわゆる「ながら食べ」は、大きなマイナスポイントとなる。


勝負師としては、相手の食べている弁当のことも熟知していなければならない。


相手が一人とは限らず、カップルや夫婦、外国人、あるいはまったく他人の一人ずつなど多様ではあるが、その食べる様子を相手に気づかれぬよう観察し、冷静な判断のもとで勝敗を決めなければならない。


勝負を挑むものとしては、自分お好きな弁当、食べたい弁当に心動かさず、常に新しい弁当に挑むこと。


弁当のお作法、食べる順番も十二分に熟考して配慮すること。


列車が動き出す前に食べてはいけない、車窓からの風景に自然が増えてきたら食べるべし。


立つ鳥跡を濁さずの姿勢で綺麗に食べ、割り箸は折って中に入れ、包装紙をきちんとかけてしまい、捨てること。


関連記事:工藤静香、手作りのお弁当が「大胆すぎる」と騒然 「丸ごと入ってる…」

 

■「弁当勝負」第一回

勝った。また勝った。 名古屋発11:42発東京行き。 隣のオジサン一人は、淡路屋の「旅の幕の内」。 うむ中々やるが、まだまだだな。 一人は、JR東海パッセンジャーサービスの「名古屋のにぎわい」。これには完勝である。

後ろのカップルは、JR東海パッセンジャーサービスの「牛タン弁当」と「牛すき重」。うん。二人とも牛肉好きなのは微笑ましいが、まだまだ人生の勉強が足りていない。

しかもおじさんふたりもカップルも、発車してすぐに食べはじめた。これは、いけない。 せめて15分たち、周囲の景色が開けてきてから食べてほしい。理想は豊橋通過後の浜名湖あたりが好ましい。

そのためのベストポジションは、海側のA席である。ただし、発車40分後になると、トンネルが多くなるので注意したい。


■マッキー氏の選択は…

松浦商店

さて僕は、昭和12年の掛け紙を復刻した松浦商店の「親子めし」850円にした。 風情がある。旅情が薄いのぞみで、気分が弾む オジサンもカップルも半ば食べ終えた頃、僕は掛けヒモを解いた。

半々やや鶏飯が多いのがいい。 鶏と卵のそぼろの味付けが濃すぎず、同社の「特製とりご飯」と違い、おかずの量や種類が必要にして十分な点がいい。

特に玉子そぼろが粉のように細かく、舌にふわりと着地する食感がいい。 その優しい卵そぼろを、親である鶏そぼろのたくましい味が、微笑みながら見守っている感がある。

そんな想像を掻き立てられ、心が温かくなる名前がいい。 ということで、これは地味なようでいて、よくよく考えられた弁当なのである。 その味と作法は次回紹介しよう

・合わせて読みたい→お弁当・お惣菜大賞で最優秀賞! 神奈川のスーパー・スズキヤ『煮豚カツ丼』が猛烈美味

(文/しらべぇ編集部・マッキー牧元

この記事の画像(2枚)