『飛田新地フィールドワーク』の問題点とは 「興味本位」以上に厄介

大阪『飛田新地』で人権団体が行なったフィールドワークが炎上しています。抗議の声をあげたひとり、SWASHメンバーの要友紀子さんに聞きました。

2016/12/02 06:00

 

■ダークツーリズム以上に厄介

主催者がセックスワーカーの安全や人権と法規制の関係について考えたこともない人たちであれば、参加者たちも、売春防止法や風営法がセックスワーカーの労働条件や労働環境をどのように規定し、被害や差別の問題に繋がっているのか、問題意識の持ちようがありません。

法的・社会的なセックスワーカーの被害の問題、国や社会の人々の不作為の問題については、主催者が伝えないと理解されづらいのです。

このような人権系・教育系の性産業のフィールドワークやスタディーツアーは、怖いもの見たさやアングラ好きの商業的ダークツーリズムよりも厄介な問題を抱えている。

それは、前者の参加者らは上述したステレオタイプのセックスワーカーの課題の数々を問題意識として持ち帰り、セックスワーカーの保護更生や風俗規制強化、買春禁止政策を啓発する担い手を生み出す可能性を秘めているからです。


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■「課題解決」だけでは不十分

ステレオタイプな課題解決のみの問題意識を持たれることが「なぜ問題なの?」と思う方のために、わかりやすい図にしてみました。

SWASH

これは世界のセックスワーカー団体を「人権支援の特徴」で分類したもの。こうした団体は世界で500を優に超えるので、図で挙げているのはほんの一部です。

セックスワーカー当事者運動の特徴としては、当事者の様々な課題やニーズに応えつつも、社会の主流秩序的な達成目標については、これらが生み出す他への抑圧や不平等の是正に関し、平行して意識的に取り組んでいるところがポイント。

課題解決型だけでアドボカシー活動(差別解消など)がないと、セックスワークの差別偏見を助長/利用される傾向があります。

最近新しくできたAV出演者たちの人権擁護団体AVANも、SWASHと同じく「課題解決型+アドボカシー」という分類に入るでしょう。

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